― 動詞を「名詞の役割」に置くという発想 ―
助動詞までは「判断」の話でした。
ここまで整理してきた助動詞は、行動そのものではなく、その行動をどう判断しているかを示す文法でした。
今回扱う不定詞・動名詞は、判断の話ではありません。
もっと土台の話です。
動詞はそのままでは主語になれない
次の文を見てください。
× Play tennis is fun.
(テニスをするは楽しい。)
意味は分かりますが、英語としては正しくありません。
なぜか。
英語では、主語の位置には「名詞の役割をする言葉」が必要だからです。
- 名詞
- 代名詞(I / you など)
- 不定詞
- 動名詞
これらはすべて「名詞の役割」を持てます。
しかし play は動詞です。
動詞はそのままでは主語になれません。
そこで必要になるのが、次の形です。
〇 To play tennis is fun.
(テニスをすることは楽しい。)
〇 Playing tennis is fun.
(テニスをすることは楽しい。)
ここで起きていることは一つ。
動詞を「名詞の役割」に変えている
それだけです。
不定詞の形は「to + 動詞の原形」
不定詞は
to + 動詞の原形
です。
× to went
× to played
とはなりません。
to の後ろは必ず「動詞の原形」です。
これは時制の話ではなく、形のルールです。
動名詞の形は「動詞 + ing」
動名詞は
動詞 + ing
です。
play → playing
study → studying
これも形のルールです。
不定詞と動名詞の共通点
不定詞も動名詞も、動詞を名詞の役割で使えるようにする形です。
まずこの共通点を押さえます。
違いの話は、そのあとです。
「名詞の役割」とはどこか
名詞の役割をする位置は主に3つあります。
① 主語(文のいちばん前に来る)
Playing tennis is fun.
(テニスをすることは楽しい。)
To read books is important.
(本を読むことは大切だ。)
② 「〜を」にあたる位置(目的語)
I like playing tennis.
(私はテニスをすることが好きだ。)
I want to read books.
(私は本を読みたい。)
③ 「A=B」のBにあたる位置(補語)
My dream is to travel abroad.
(私の夢は海外に旅行することだ。)
My hobby is collecting stamps.
(私の趣味は切手を集めることだ。)
どちらも「〜すること」という扱いです。
ここでやっていることは一貫しています。
動詞を「モノ」として置いている
それだけです。
「未来」「過去」と言われる理由は何か
不定詞や動名詞そのものは、(単体では)時制を持ちません。
それでも「不定詞は未来っぽい」「動名詞は過去っぽい」と言われることがあります。
なぜか。
それは、前の動詞との関係で、心理的な時間の向きが生まれるからです。
例1
I want to go.
(私は行きたい。)
want は「これからしたい」という性質の動詞です。
だから go は「これから」の行動になります。
これは to が未来だからではありません。
want という動詞の性質によるものです。
例2
I enjoyed playing soccer.
(私はサッカーをすることを楽しんだ。)
enjoy は「体験を楽しむ」動詞です。
だから playing は「実際にやっている(やった)」行動になります。
これは ing が過去だからではありません。
enjoy という動詞がそういう行動を取るからです。
なぜ「未来=to」「過去=ing」と言えないのか
I like playing tennis.
(私はテニスをすることが好きだ。)
これは過去の話ではありません。
今の習慣や一般的な性質です。
I remember meeting him.
(私は彼に会ったことを覚えている。)
これは過去の経験です。
同じ ing でも、時間はバラバラです。
だから、「動名詞=過去」「不定詞=未来」とは言えません。
時間を決めているのは、前の動詞と文全体の時制です。
不定詞や動名詞は、その時間に従って働いています。
では、どちらを使えばいいのか?
ここで疑問が出ます。
「じゃあ、どちらでもいいの?」
答えは、半分YES、半分NOです。
✔ 主語の位置に置く場合は、どちらも使えることが多い
しかし、
✔ 動詞の後ろ(〜を)の位置に置くときは、前の動詞との相性で決まります。
この「相性」の話が、次の記事のテーマです。
今回の整理(序章の到達点)
今日整理したのは、次の4点です。
- 動詞はそのまま名詞の役割には置けない
- だから形を変える(to + 原形 / 動詞 + ing)
- 不定詞・動名詞は(単体では)時制を持たない
- 時間を決めているのは、前の動詞と文全体の時制
まずはここまでを、一緒に押さえておきましょう。
この土台があるだけで、「不定詞は未来」「動名詞は過去」といった雑な理解に戻らずにすみます。
次の記事では、
なぜ to という形になるのか。
なぜ ing という形になるのか。
そこをもう一段だけ掘り下げます。
私もまだ学習の途中です。
一緒に整理していきましょう。


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